英語プレゼンの極意:伝わる話し方と説得力を高めるテクニック

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英語プレゼンの極意

英語で「伝わる」ために必要な本質とは?

by Phoenix Consulting スタッフ 2025.05.02

英語プレゼンテーションは、グローバルなビジネスシーンにおいて欠かせないスキルです。文化理解、非言語表現、構成力までを体系的に整理した内容をお届けします。

英語プレゼンテーションの極意:伝わる話し方と説得力を高めるテクニック

英語でのプレゼンテーションは、グローバルなビジネスシーンにおいて重要なスキルの一つです。しかし、日本人の多くは「英語が苦手」「説得力が足りない」「自信がない」と感じ、十分に伝えられないことがあります。フェニックスコンサルティングでは、毎年多くのプレゼンテーション研修を幅広い対象層へご提供しておりますが、経営層、管理職層、営業、社内コミュニケーションなど、多様化するニーズに対して、本質的な課題には共通項があります。
本記事では、英語プレゼンテーションを成功させるための土台となる極意を詳しく解説します。基本的な準備から、効果的なメッセージ構築、スライドの活用、非言語コミュニケーション、質疑応答のコツまで、実践的なテクニックを紹介します。

1.多文化環境でのプレゼンテーション

グローバル化が進む現代において、多文化環境でのコミュニケーションスキルはますます重要になっています。英語プレゼンテーションも例外ではなく、異なるバックグラウンドを持つ聞き手に効果的にメッセージを伝えるためには、文化の違いを理解し、それに適応する能力が求められます。プレゼンテーションの構成や言葉の選び方、非言語コミュニケーションの活用など、文化的な要素を意識することで、より伝わりやすく、説得力のあるプレゼンテーションが可能になります。本章では、多文化環境でのプレゼンテーションにおいて考慮すべきポイントを詳しく解説します。

多文化環境でのプレゼンテーションの特徴
多文化環境では、聞き手の価値観やコミュニケーションスタイルが大きく異なります。そのため、日本人を対象としたプレゼンテーションとは異なり、聴衆を理解しコミュニケーションをとることが大切です。以下の点を意識することで、異文化の聞き手にも伝わりやすいプレゼンテーションを実現できます。

① コミュニケーションスタイルの違いを理解する
ローコンテクスト文化(Low-context culture)
主に英語圏(アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)の文化で見られる
明確な表現を好み、結論を最初に述べるスタイルが一般的
例:「Our goal is to increase revenue by 20% this year. Here’s how we’ll achieve it.」

ハイコンテクスト文化(High-context culture)
日本、中国、韓国などのアジア圏の文化で見られる
言外の意味や文脈を重視し、結論よりも背景を説明する傾向がある
例:「昨年は市場が大きく変動しました。この流れを受けて、収益向上を目指した新たな戦略が必要です。」
異文化環境でのプレゼンテーションでは、聞き手の文化に合わせたスタイルを意識することが重要です。特に英語圏でのプレゼンテーションでは、シンプルで論理的な構成を心がけると相手に伝わりやすくなります。

② 文化ごとのフィードバックスタイルの違い
プレゼンテーションの場では、聞き手の反応が異なることにも注意が必要です。
直接的なフィードバックを好む文化(アメリカ・ドイツなど)
明確な意見を述べ、質問や批判も遠慮なく行う
プレゼン中に積極的に質問が出ることも多い

間接的なフィードバックを好む文化(日本・韓国など)
質問が少なく、意見をはっきり言わないことが多い
プレゼンテーション終了後に個別でフィードバックがあることも
聞き手の文化的背景を考慮し、フィードバックを求めるタイミングや方法を調整することにより、聴衆とより良い関係が構築できます。

多文化環境で伝わるプレゼンテーションのポイント
多文化環境におけるプレゼンテーションでは、言葉だけでなく、非言語コミュニケーションやストーリーの使い方にも工夫が必要です。以下の3つのポイントを意識すると、より伝わりやすくなります。

① シンプルで明確な表現を心がける
異文化環境では、英語が母国語でない聞き手も多いため、シンプルで分かりやすい表現を心がけましょう。

② ストーリーテリングを活用する
データや事実、論理的な説明だけではなく、ストーリーテリングを交えると、文化の違いを超えて共感を得やすくなります。

ストーリーテリングの基本構成

 

1. 過去・現在・未来の時系列で語る

英語プレゼンでストーリーを効果的に語るためには、「過去・現在・未来」の時系列を意識すると、流れがスムーズになり、聞き手が理解しやすくなります。
(1)過去:背景や課題を説明する
まず、冒頭で、「なぜこの問題が発生したのか?」を説明します。過去の状況を明確にすることで、聞き手は問題の重要性を理解しやすくなります。

例文(過去の説明)
"A few years ago, our company faced a serious challenge: declining customer retention rates."
(数年前、当社は深刻な課題に直面しました。それは、顧客維持率の低下です。)
"Back in 2018, the market was very different. Our competitors had already embraced digital transformation, but we were struggling to keep up."
(2018年当時、市場は今とは大きく異なっていました。競合他社はすでにデジタル変革を進めていましたが、私たちはそれについていけませんでした。)

(2)現在:解決策や取り組みを示す
次に、「現在の状況はどうなっているのか?」を説明します。ここでは、どのようなアクションを取ったのか、または今まさに取り組んでいることを強調します。

例文(現在の状況の説明)
"To address this challenge, we implemented a new customer engagement strategy using AI-driven data analysis."
(この課題に対応するために、AIを活用したデータ分析を導入し、新たな顧客エンゲージメント戦略を実施しました。)
"We have launched a digital transformation project and already see improvements in efficiency and customer satisfaction."
(私たちはデジタル変革プロジェクトを開始し、すでに業務効率と顧客満足度の向上が見られています。)

(3)未来:ビジョンや期待される成果を語る
最後に、「この取り組みが将来どのような影響を与えるのか?」を伝えます。聞き手にポジティブな未来像を描かせることで、共感を引き出しやすくなります。

例文(未来のビジョンの説明)
"With these changes, we expect to increase customer retention by 25% in the next two years."
(これらの変革により、今後2年間で顧客維持率を25%向上させることを目指しています。)
"We believe that by continuing this initiative, we can establish ourselves as a market leader in sustainable business practices."
(この取り組みを継続することで、持続可能なビジネスのリーダーとして確立できると考えています。)

2. 長所と短所(強みと課題)の両面を伝える

ストーリーテリングでは、物事を一方的に美化するのではなく、長所と短所(強みと課題)の両方を伝えることが重要です。そうすることで、聞き手にリアルな課題感を持たせ、解決策の説得力を高めることができます。

(1)長所を強調する
英語プレゼンでは、ポジティブな側面を強調することが多く、「なぜこのアプローチが優れているのか?」を伝えることが重要です。

例文(長所の説明)
"One of the biggest advantages of our solution is its ability to analyze customer behavior in real-time."
(このソリューションの最大の利点の一つは、リアルタイムで顧客の行動を分析できることです。)
"Our team’s strength lies in its adaptability and willingness to embrace change."
(私たちのチームの強みは、適応力があり、変化を受け入れる姿勢があることです。)

(2)課題やリスクも伝える
長所だけでなく、考えられるリスクや課題も伝えることで、より信頼性のあるプレゼンになります。ただし、課題を提示するだけでなく、解決策も併せて示すことがポイントです。

例文(課題の説明)
"However, we recognize that implementing this solution requires significant investment and a shift in company culture."
(しかし、このソリューションを導入するには、大きな投資と企業文化の変革が必要であることも認識しています。)
"One challenge we face is ensuring seamless integration with existing systems, but we have developed a phased approach to minimize disruptions."
(私たちが直面している課題の一つは、既存システムとのスムーズな統合ですが、それを最小限の混乱で進めるための段階的アプローチを開発しました。)

ストーリーテリングを活用したプレゼンの例
実際に、過去・現在・未来の流れと、長所と短所のバランスを意識したストーリーの例を紹介します。

【例】英語プレゼンのストーリー
"Three years ago, we faced a serious decline in customer engagement. Our traditional marketing strategies were no longer effective, and we struggled to attract new clients."
(3年前、私たちは顧客エンゲージメントの深刻な低下に直面していました。従来のマーケティング戦略はもはや効果的ではなく、新規顧客の獲得に苦戦していました。)

"To tackle this issue, we implemented an AI-powered recommendation system. This has already increased user retention by 15% and improved overall customer satisfaction."
(この課題に対処するために、AIを活用したレコメンドシステムを導入しました。その結果、ユーザーの維持率がすでに15%向上し、全体的な顧客満足度も改善しました。)

"Looking ahead, we aim to expand this strategy globally, expecting a 30% increase in market share over the next three years."
(今後は、この戦略をグローバルに拡大し、今後3年間で市場シェアを30%向上させることを目指しています。)

"While this transformation is promising, we acknowledge the challenge of scaling AI infrastructure efficiently. That’s why we are partnering with leading tech firms to streamline the process."
(この変革は有望ですが、AIインフラを効率的に拡張するという課題も認識しています。そのため、私たちは大手テクノロジー企業と提携し、このプロセスの合理化を進めています。)

③ 非言語コミュニケーションを意識する
英語プレゼンでは、言葉以外の要素(ボディランゲージ、アイコンタクト、声のトーンなど)が大きな役割を果たします。

アイコンタクトを適度に取り、聞き手とつながる
身振り手振りを適度に使い、話の流れを強調する
声の抑揚をつけ、単調にならないようにする
特に、ジェスチャーや表情を豊かにすることで、言葉の壁を超えて伝わりやすくなります。
※ただし、ジェスチャーやボディランゲージには国や地域によるタブーがありますので、注意しましょう。 共通言語はスマイルです!

3.ビジュアルの効果的な活用~本質的に大切なこと~

英語プレゼンテーションにおいて、ビジュアルは単なる補助的な要素ではなく、メッセージの本質を伝えるための重要な手段です。人間の脳は視覚情報を言語情報よりも速く処理し、記憶にも残りやすいと言われています。しかし、本当に大切なのは「スライドのデザイン」や「テクニック」ではなく、ビジュアルを使って何を伝えたいのかという本質的な目的です。視覚的な要素がプレゼンテーションの本質と合致しているかどうかが、聞き手に与える影響を決定します。本章では、単なるテクニックではなく、ビジュアルを活用する上で本質的に大切なことについて考えていきます。

1. ビジュアルの役割とは?

私たちはプレゼンテーションを行う際、しばしば「スライドを作らなければならない」と考えがちですが、それは本質ではありません。ビジュアルの役割は、聞き手の理解を助け、メッセージをより深く伝えることです。以下の2つの観点から、ビジュアルの本質的な役割を考えましょう。

(1)言葉だけでは伝えきれないことを補完する
プレゼンは、言葉だけでは伝えきれない情報を補完するためにビジュアルを使う機会でもあります。たとえば、「グローバル市場の成長率が急速に上昇している」と伝える際、数字を並べるよりも、明確なグラフを1つ見せた方が、聞き手は瞬時にその変化を理解できます。

チェックポイント
このスライドは、言葉だけでは伝えられないことを補完しているか?
ビジュアルなしでも伝わるなら、本当に必要なのか?
(2)聞き手の記憶に残る体験をつくる
プレゼンテーションは、単なる情報伝達ではなく、聞き手の記憶に残る「体験」を作る場でもあります。心理学的に、人は単なるデータや論理だけではなく、視覚的な刺激やストーリーを伴う情報をより長く記憶にとどめることが分かっています。

たとえば、「私たちの新製品は環境にやさしい」というメッセージを伝えたい場合、文章で説明するよりも、実際に環境保護の現場で使われている写真や、使用後の環境への影響を示すイラストを見せた方が、聞き手の心に残ります。

チェックポイント
このビジュアルは、単なるデータではなく、記憶に残る体験を生み出しているか?
聞き手に「何を感じてもらいたいのか?」が明確になっているか?

2. 「伝える」ではなく「感じさせる」

優れたプレゼンターは、聞き手に「情報」を伝えるのではなく、「意味」を感じさせることを重視します。ビジュアルの本質は、単に情報を整理することではなく、聞き手に「気づき」や「洞察」を与えることにあります。

(1)シンプルなビジュアルこそ、強いメッセージを持つ
プレゼンテーションにおけるビジュアルの役割は、「装飾」ではなく、「本質を引き立てること」です。私たちは時に、スライドを「目を引くもの」にしようとしすぎて、本来のメッセージが埋もれてしまうことがあります。ビジュアルは、足すものではなく、削ぎ落とすものという意識を持つことが重要です。

例えば:

❌ NG例: さまざまな色やフォントが混在し、複雑なデザインのスライド
✅ OK例: 必要な情報だけを大きな文字とシンプルな図で示したスライド
→「何を見せるか」よりも「何を省くか」を意識することが、より強いメッセージにつながる。

(2)データよりも「ストーリー」をビジュアル化する
多くのプレゼンでは、統計データや事実を示すことに重点が置かれます。しかし、聞き手が「納得する」のは、データではなく、その背景にあるストーリーです。データをビジュアル化する際には、単なる数値ではなく、その意味やストーリーを伝える方法を考えましょう。

❌ NG例: 「売上は前年比15%増加」というテキストだけのスライド
✅ OK例: 15%増加の背景にある顧客の変化を示す画像や、顧客の声を引用
→ データの羅列ではなく、そのデータの「意味」を伝えることが大切。

3. 聞き手の視点に立つ

ビジュアルの本質を考えるとき、最も大切なのは「聞き手がどのように受け取るか」という視点です。プレゼンテーションの主役は話し手ではなく、聞き手です。話し手が「見せたいもの」を優先するのではなく、聞き手が「理解しやすいもの」を優先しましょう。

(1)「作る」よりも「届ける」視点を持つ
スライドを作る際、「自分が見せたいデザイン」にこだわるのではなく、聞き手がどのように情報を受け取るかを考えることが重要です。

✅ 本質的な問い

このスライドは、聞き手の知識レベルや関心に合っているか?
聞き手が「なるほど!」と感じるビジュアルになっているか?

まとめ
英語プレゼンにおけるビジュアルの本質は、単なる装飾ではなく、聞き手に「気づき」と「感動」を与えることです。テクニックやデザインの工夫も重要ですが、それ以上に大切なのは、聞き手の記憶に残る「意味のあるビジュアル」を作ることです。

✅ 言葉だけでは伝えきれないことを補完する
✅ 「伝える」ではなく「感じさせる」ことを意識する
✅ シンプルで本質を引き立てるビジュアルを作る
✅ データではなく「ストーリー」を視覚化する
✅ 聞き手の視点に立ち、理解しやすいものを届ける

4.非言語コミュニケーションの活用とプレゼンス向上

1. 〜言葉を超えた「伝わる力」〜

私たちは日々、多くの言葉を使ってコミュニケーションを取っています。しかし、本当に伝わっているのは「言葉」だけでしょうか?研究によると、人間のコミュニケーションの大部分は非言語的要素に依存していると言われています。顔の表情、ジェスチャー、アイコンタクト、声のトーン、姿勢——これらが、相手の印象を決定し、メッセージの受け取り方を大きく左右します。

しかし、非言語コミュニケーションは単なる「テクニック」ではありません。表面的なスキルを磨くだけでは、真に人の心を動かすことはできません。大切なのは、「自分自身が何を感じ、どう在るべきか」という、本質的な部分に目を向けることです。本記事では、非言語コミュニケーションを単なる技法ではなく、「人間としてのプレゼンス(存在感)」の視点から探究していきます。

2. 非言語コミュニケーションの本質とは何か?

(1)伝えるのではなく、伝わる
多くの人は「自分がどのように伝えるか」に焦点を当てがちですが、重要なのは「相手がどのように受け取るか」です。非言語コミュニケーションの本質は、意識的・無意識的に発せられるメッセージが、相手にどのような影響を与えるのかを理解し、それをコントロールすることにあります。

例えば、プレゼンテーションの場面を考えてみましょう。スライドの内容や話の流れが完璧でも、話し手の姿勢が縮こまっていたり、アイコンタクトがなかったりすれば、聞き手は「この人は自信がないのでは?」と感じてしまいます。逆に、言葉が拙くても、堂々とした態度と温かい表情で話す人の言葉は、相手の心に深く響きます。

📌 本質的な問い
私は相手にどんな印象を与えているだろうか?
自分が伝えたいことと、相手が受け取るものは一致しているか?

(2)非言語は「演技」ではなく「自己の投影」
「好印象を与えるには笑顔を作りましょう」「アイコンタクトを増やしましょう」というアドバイスはよく聞きます。しかし、それを意識しすぎると、逆に「不自然さ」が生まれてしまうことがあります。

非言語コミュニケーションの本質は、表面的なスキルではなく、「その人の内面」が相手に伝わるということです。どれだけ作り笑顔をしても、心の中に緊張や不安があると、相手には伝わってしまいます。逆に、自分の考えや価値観に自信を持ち、それに誠実であるならば、自然とプレゼンスが高まります。

📌 本質的な問い
私は本当に心から伝えたいことを語っているか?
自分自身に嘘をついていないか?

3. プレゼンス(存在感)の本質

非言語コミュニケーションと密接に結びつく概念が、「プレゼンス(存在感)」です。プレゼンスとは、単に声が大きい、目立つということではなく、「その場にいるだけで人を惹きつける力」のことです。

(1)プレゼンスがある人とは?

プレゼンスがある人には、共通する特徴があります。それは、「その場に100%集中している」ということです。逆に、心が別のことを考えていたり、不安でいっぱいだったりすると、存在感は薄れます。

たとえば、カリスマ的なリーダーやスピーカーは、話す際に「今この瞬間」に全神経を集中しています。彼らは自分自身を偽ることなく、目の前の聞き手に誠実に向き合っています。その結果、聞き手は彼らの言葉を「本物」と感じるのです。

📌 本質的な問い
私は今この瞬間に集中しているか?
自分の話に自分自身が納得しているか?
自分に自信を持てているか

(2)プレゼンスを高める方法
プレゼンスを高めるためには、表面的なテクニックではなく、以下のような「内面の状態」を整えることが重要です。

✅ 自己認識を深める
自分がどんな価値観を持ち、何を大切にしているのかを明確にする
「自分らしさ」とは何かを考える

✅ 心と身体を整える
姿勢を正すことで、心の状態も整う(心と身体はつながっている)
深呼吸をすることで、自分自身のペースを取り戻す

✅ 相手と誠実に向き合う
相手の言葉だけでなく、表情や態度から本音を読み取る
自分の考えを押し付けるのではなく、「共に創る」姿勢を持つ

4. まとめ 〜非言語コミュニケーションとは「生き方」である〜

非言語コミュニケーションは、単なる「スキル」ではなく、その人の「生き方」「あり方」が映し出されるものです。話し方や表情を整えることも大切ですが、それ以上に、「自分は何を大切にし、どう在るべきか?」を問い続けることが、プレゼンスを高める鍵となるのです。

🔹本質的に大切なこと
✅ 伝えるのではなく、「伝わる」ことを意識する
✅ 表面的な演技ではなく、誠実であることを重視する
✅ プレゼンスを高めるために、「今この瞬間」に集中する
✅ 自分の価値観を明確にし、それに基づいた行動をとる
✅ 相手と誠実に向き合い、心からの対話をする

→ 自分が「どう在るか」が、そのまま相手に伝わる。だからこそ、自分の内面を見つめ、誠実に生きることが、最高の非言語コミュニケーションとなる。

5.質疑応答と即興力

1.〜即興力は「反射」ではなく「対応力」〜

プレゼンテーションやビジネスの場面での「質疑応答(Q&A)」は、単なる補足説明ではなく、プレゼンターと聞き手の間にリアルタイムの対話を生み出す瞬間です。この場面では、事前に準備したスクリプトに頼ることができません。即興力が試される場面こそ、真のコミュニケーション能力が発揮される機会なのです。

しかし、「即興力」とは単なる反射的な答えではなく、相手の意図を的確に汲み取り、適切な形で応答する力です。特に、グローバルなシチュエーションでは、文化的な違いや言語の壁があるため、単に答えるだけでなく、「どのように伝えるか」も極めて重要になります。ここでは、質疑応答と即興力の本質を探究し、グローバルな環境で効果的に機能するための考え方を深掘りしていきます。

2. 質疑応答の本質とは?

質疑応答とは、聞き手が疑問や関心を持ち、より深く理解したいと求めるプロセスです。この場面では、単に質問に答えるのではなく、「聞き手とどのような関係性を築くか」が本質的なポイントになります。

(1)「質問」は聞き手からの対話の申し出
質疑応答を「試験」のように感じる人も多いですが、実際には「質問=対話を深めるチャンス」です。特にグローバルな環境では、以下のような質問の背景を意識することが重要です。

📌 質問の背景を考える

確認のための質問:「あなたのプレゼンのポイントをもう一度整理すると?」
疑問や反論を含む質問:「その戦略は本当に持続可能なのか?」
意見を求める質問:「あなた自身はこの問題をどう捉えているのか?」
質問は「攻撃」ではなく、聞き手が納得し、自分ごととして考えたいという意思表示です。この視点に立つと、質疑応答の場面が「試される時間」ではなく、「関係を築く時間」へと変わります。

📌 本質的な問い
私は相手の質問の「意図」を理解できているか?
質問に対して「正解」を探すのではなく、「関係を深める」姿勢を持てているか?

3. グローバル環境における即興力の本質

即興力とは、単なる「瞬発力」ではなく、状況に応じた適切な対応ができる柔軟性のことです。特に、異文化間コミュニケーションでは、即興力が問われる場面が頻繁に訪れます。

(1)文化の違いが生む「質問の意図」の多様性
グローバルな環境では、同じ質問であっても、文化ごとに意図が異なることがあります。例えば、「Why did you choose this approach?(なぜこの方法を選んだのか?)」という質問一つを取っても、次のように背景が変わります。

✅ アメリカ・欧州系の文化(ローコンテクスト文化)
ストレートな意見交換を重視
「論理的な根拠を示してほしい」という意図

✅ 日本・アジア系の文化(ハイコンテクスト文化)
表面的な質問の奥に、本当の意図がある
「慎重に考えたいので、より詳細な説明を聞きたい」という意図

このように、グローバルな環境では、質問の「表面の言葉」だけでなく、その背景にある意図を読み取る力が求められます。

📌 チェック
この質問の背景には、どんな文化的価値観があるのか?
私は「相手の文化的コンテクスト」を理解した上で答えを考えているか?

(2)「答えを持つ」のではなく「答えを創る」
即興力とは、準備していない質問に対応できる能力のことですが、決して「瞬時に正解を出す能力」ではありません。むしろ、重要なのは「対話を通じて答えを創ること」です。

📌 即興力の本質
✅ 考える時間を作る:「That’s a great question. Let me think for a moment.」
✅ 質問の意図を明確にする:「Do you mean in the context of our recent project, or in general?」
✅ 対話を深めるための逆質問をする:「What’s your perspective on this issue?」

即興とは、ただ反射的に答えるのではなく、「相手と共に考える姿勢」を示すことです。特にグローバルな環境では、「分からない」と言うことを恐れず、オープンな姿勢で対話することが信頼につながります。

📌 チェック
私は「知っていること」だけを話そうとしていないか?
「対話の中で答えを創る姿勢」を持てているか?

4. 質疑応答の場でプレゼンスを発揮する

プレゼン本編よりも、質疑応答の場でその人の「プレゼンス(存在感)」が試されることがよくあります。これは、事前に準備された内容ではなく、「リアルなその人」が表れるからです。

(1)自信とは「知識量」ではなく「態度」
質疑応答で自信を持つことは、「全ての質問に完璧に答えること」ではありません。むしろ、「わからないことは素直に認め、対話を続ける姿勢を見せること」が、信頼につながります。

✅ 良い例
「That’s an interesting point. I’d like to explore this further with you.」
「I don’t have a definite answer at this moment, but based on our data so far…」

❌ 悪い例
何でも知っているふりをする(聞き手はすぐに見抜く)
「それは違います」と相手を否定する

📌 チェック
私は「知っていること」よりも「対話すること」を大切にしているか?
質問を受けることを「試験」ではなく、「共に考える機会」と捉えられているか?

5. まとめ 〜質疑応答と即興力は「関係を築く力」〜

質疑応答や即興力は、単に答えを返す技術ではなく、「関係を築く力」です。グローバルな環境では、「正しい答えを持っているか」よりも、「どう対話を進めるか」が重視されます。

🔹本質的に大切なこと
✅ 質問は「対話の申し出」であると捉える
✅ 「正しい答え」ではなく、「共に答えを創る姿勢」を持つ
✅ 文化的な背景を理解し、質問の意図を深く考える
✅ プレゼンスとは、「今この場に誠実に存在すること」である

→ 質疑応答とは、「会話を続けるための場」。即興力とは、「相手との対話を創る力」。そこに本質がある。

英語プレゼンテーションで最も重要なのは、「伝える」ことではなく「伝わる」ことです。説得力を高めるためには、明確な目的設定、聞き手を意識したメッセージ構築、視覚的な工夫、非言語コミュニケーションの活用、そして質疑応答での柔軟な対応が欠かせません。大切なのはテクニックではなく、聞き手と対話し、共感を生み出す姿勢です。

論理的な構成や流暢な話し方も大切ですが、それ以上に、本来、聞き手の共感を得ることが成功の鍵となります。なぜなら、人は「納得」よりも「共感」によって動かされるからです。データや理論だけではなく、聞き手の価値観や感情に寄り添いながら話すことで、より深い理解と信頼を得ることができます。
フェニックスコンサルティングでは、EQ(感情知能)の要素を研修に加えることで、より本質的なコミュニケーションの質の向上につなげています。
様々なプレゼンテーションスタイルや状況に応じてご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。